法曹界の外の人間と関わり、仕事の視野が広がった
——学生時代に取り組んでいたことを教えてください。
幼稚園の頃から弁護士になりたいと思っていたので、ずっと自分の人生で「法律」はひとつのキーワードでした。しかし、中学3年生のとき冤罪の研究をして日本の法曹界はこのままでいいのだろうかと問題意識が芽生えました。そして大学に入学した2016年あたりにリーガルテックが騒がれ始め、私が抱いた法曹界のモヤモヤの部分が、もしかしたらAI・ITなど新しい技術を用いて解決できるのではないかと期待し、AI×法律に関心を持つようになりました。
また、大学1年生の3月に初めて中国に行きました。顔認証決済やホームレスの方が現金をもらうのではなく自分用のQRコードを使って寄付してもらうなど、私がイメージしていた中国とは全く違う文化に出会いました。 AI・ITの社会進出によってこんなにも人々の行動が変わるのだと衝撃を覚え、大学時代はAI・法律・中国を軸として活動していました。
あとは3年間連続で日本テレビ系列の「頭脳王」という番組に出演させていただいたり、中国の最強大脳いう番組で日本代表として頭脳バトルをさせていただく機会がありました。 他にも、中国に関する雑誌『中國紀行』やAIに関する日経電子版での羽生棋士との対談など、メディアに取り上げていただくこともありました。
このような活動と並行しながら東京大学法学部在学中に司法試験予備試験に合格して、翌年司法試験に一発合格しました。これらの経験を踏まえて、弁護士になる前に単著『小松詩織が教える 司法試験・予備試験 合格のベストプラクティス』(中央経済社)を出版いたしました。
——現在どういうお仕事をされているか教えてください。
弁護士として主にコーポレート・クロスボーダーM&Aという分野を扱っています。わかりやすく言うと、海外企業買収の法的サポートや海外企業が日本に進出したいときの法人設立のサポートなど、いわゆる渉外弁護士ですね。他にも、スタートアップ企業の資金調達の案件を扱ったり、AI関連の新しいサービスを提供したい企業に法律上の問題点をアドバイスしたりもしています。
アグリテック(農業×技術)についてサミットで講演をしたり、AI×法律の専門家としてカンファレンスに登壇する機会もいただいています。
——GSCの活動が仕事に活きていると感じる部分はありますか?
今関与している仕事の半分以上が海外案件で、仕事で英語を用いるんです。GSCでも国を超えて色々な方と関わる機会があるので、国際的に活動する抵抗感が取り払われていると思います。
——日本国内のみならず、世界中の拠点の方々と日本語や英語を駆使してやり取りするって、とても高度で複雑なお仕事ですね。
海外案件はバリエーションがとても多く、同じM&Aでも関与する国や準拠法が異なるだけで意識すべき点も異なってくるので、 海外案件に触れることによって法律家としての知見が2倍にも3倍にも獲得できると感じています。
また、法曹界にいると関わる人間が法曹の方ばかりになってしまいますが、GSCでは若くして活躍されている方や、異なる分野で活躍されている方、例えば、デザイナーの方、NPOを設立している方、最先端の研究をしている方などがたくさんいるので、彼らとコミュニケーションをすることが、法律家としてクライアント目線に立ってアドバイスする力につながっています。 「法律はこうなっています。以上!」ではなく、その先のビジネスでこういうことをしたいんじゃないかと想像力を働かせる力がGSCを通じて培われたと思います。
法律家としてイノベーションに貢献したい
——GSCに応募されたきっかけを教えてください。
もともとシェイパーとして活躍されていた佐久間洋司さんと孫正義育英財団でご一緒して、GSCのことを知ったのがきっかけです。GSCはすごい経歴の方がたくさんいますが、そういう方たちがただ集まるだけではなく、自分たちの活動を地域の発展にどう活かしていくかという発想でコミュニティメンバーとして活躍しているところに関心を持ち、応募しました。
——今後GSCでやりたいことはありますか?
もし叶うなら、世界経済フォーラムの国際カンファレンスに参加させていただきたいです。国際カンファレンスに日本の若いリーダーとして参加することによって、世界的に活躍している方々から刺激を受けたいですね。そういう方々とネットワーキングするのがコロナの時代、難しくなってきているので、GSCに所属することでネットワークを広げ、活躍の機会をさらに拡大したいという期待を持っています。
——小松さんの将来のビジョンをお聞かせください。
社会のイノベーションを支える存在になりたいですね。未来の日本や世界のために活動されている方の夢を法律家としてサポートすることによって、結果的に社会のイノベーションを促進し、より良い社会形成に貢献していきたいです。
——最後に、GSCに入りたい方へメッセージをお願いします。
興味があるなら悩まずにチャレンジしてみるのが一番だと思っています。もし少しでも関心を持ったならば、応募することを強くお勧めします。
○小松詩織(弁護士)
2022.12.10
TEXT BY 蒲生由紀子